2026.03.13

ウッズランドMio

会員とともに楽しく地方創生! 自由なスタイルのキャンプ場を営む オーナーの織田拓(おりたたく)さんの物語。

 

コンセプトは「みんなでつくるキャンプ場」

 

津市美杉町は、奈良県との県境に位置し、四方を山々に囲まれた自然豊かな地域。町の中央を清らかな川が流れ、古くから林業や農業とともに、人々の暮らしが営まれてきた。市街地から離れたこの地では、自然の移ろいを身近に感じることができ、ゆったりとした時間が流れている。そんな美杉町で「ウッズランドMio」「オフロードランドMio」という二つのキャンプ場を経営する織田拓さんに話を伺った。

 

キャンプ場内の小屋をDIYで作る織田さん

 

大阪府出身の織田さんは、大学時代には細胞や希少動物などを対象とした生物分野の研究に打ち込んでいた。大学卒業後は、愛知県の一般企業に就職したが、働く中で自身の将来や仕事との向き合い方について、次第に考えるようになったという。

 

織田さん:元々抱いていた「研究者になりたい」という思いが、再び強まっていきました。その思いから、会社を辞めて、三重大学の微生物学研究室の門を叩き、改めて研究者をめざすことにしました。そんな時、両親が購入したままになっていた土地と古民家が美杉町にあることを知ったんです。下宿代を抑えられればと思い、美杉町に住むことを決めました。それがすべての始まりでした。

 

長年放置されていた美杉町の古民家

 

手つかずの土地と放置された立派な古民家。三重大学までは片道50km以上、車で約90分かかる。同じ津市内でありながら、市街地と美杉町の風景の違いに衝撃を受けた。

 

織田さん:美杉町は「過疎化・高齢化・少子化」問題の最前線で、いわゆる限界集落。「何か少しでも役に立てれば」と思い、さまざまなことを手伝っていました。当時、私は20代で「若者が目立つコミュニティ」だったこともあり、皆さんに褒めてもらったんです。これまでほとんど褒められたことがない人生だった自分でも「役に立てる!自分の居場所はココだ!」と調子に乗って、地域の活動にどんどんのめり込んでいきました。

 

映画「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」のロケ地ツアーガイドも担当

 

ある日、当時の地区長から「この村にはお前みたいなやつが必要や」と声をかけられ、この地で骨を埋める覚悟を決めた織田さん。美杉町で撮影が行われた映画「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」の撮影協力をはじめ、地元の祭りの企画など、地域のために尽力した。

 

織田さん:三重大学を卒業し、縁あって三重大学の教員として就職しました。ただ、自分の専門の生物学ではなく、「地方創生」に関わる社会系の先生としてです。早速、学生たちを美杉に連れていき、一緒に美杉の地方創生について考えました。この地域の良さを一番知ってもらえるコンテンツは何だろうと考え、「そうだ、キャンプ場を作ろう!」となり、そこから「WOODs LAND Mio」のプロジェクトが発足しました。

 

美杉町の住民とともに進められた「キャンプ場の整備」

 

キャンプ場に使用する土地は、過去の工事で発生した残土が投入され、再生が困難な状態となっていた約3,000平方メートルの休耕田。長期間放置され、雑草が生い茂っていたが、地元の土建業者や林業関係者の協力を得て整地が進められ、キャンプ場のメインとなるフィールドが完成した。

 

独自のシステムを取り入れたキャンプ場

 

そして、2020年6月「ウッズランドMio」がオープン!最大の特徴は、西日本で初となる完全会員制のサブスクリプションキャンプ場であること。月額定額の自動課金制で、会員は24時間365日、回数の制限なく利用できる。料金は、ソロ会員が月額3,000円、家族・カップル会員が月額4,000円。※利用の有無にかかわらず、登録月以降は毎月課金。

 

のびのびとキャンプを楽しめる「ウッズランドMio」の場内

 

織田さん:完全会員制にすることで、フィールドの過密を防ぎ、マナーが悪い方の利用も抑えられるため、会員の皆さんに快適なキャンプを提供できます。オープン当初は会員数が上限の50名に達するまで1年ぐらいかかると思っていましたが、コロナ禍のキャンプブームの影響もあり、オープンした月に上限を超え、驚きとともにうれしい悲鳴でした。

 

会員自身が「運営者」

 

織田さんと会員は、オンライン上の連絡手段を通じて情報を共有している。新たなイベントの企画や施設整備の際には呼びかけが行われ、参加を希望する会員が集まる。

 

織田さん:このキャンプ場の「自由さ」を活かして、さまざまなことにチャレンジしてもらっています。自分専用サイトを作ったり、間伐や植林、建築、栽培をするのもOKです。貸し出せる道具はすべて貸し出していて、足りないものは会員の皆さんからいただく月額料金で買い足していきます。

 

会員に愛される「看板猫」

 

人懐っこい看板犬・看板猫とのふれあいも、このキャンプ場の魅力の一つ。多くの会員に親しまれている。

 

織田さん:うちの猫たちは初対面でもすり寄ってきて、勝手に寝袋に入ってしまうこともあります。きっと人が好きなんだと思います。優しくかわいがってもらえたら、とても喜びます。

 

キャンプ場の2号店「オフロードランドMio」も魅力満載!

好きなスタイルで過ごせる「オフロードランドMio」

 

 

2021年、美杉町の別の場所に「ウッズランドMio」の2号店として「オフロードランドMio」をオープン。こちらは会員制ではなく、誰でも気軽に利用できる「一般型」のキャンプ場。利用日のチェックイン・チェックアウト時間が自由なのは、「ウッズランドMio」

と同じ。サイト内はすべて車の横付けOK!

 

走りやすさが自慢の「オフロードコース」

 

その名の通り、目玉は「全長約1kmのオフロードコース」があること。コース幅は約4〜5mで、1周500円で利用できるほか、3,000円で1日フリー走行が可能な走り放題プランもある。

※四輪駆動車は走行可能。ただし、周辺住民への配慮から、競技用バイクは走行不可。

 

織田さん:適度な起伏があり、難しいセクションはありません。運転できる方であれば、どなたでも楽しめます!後輪駆動車の場合は、四輪駆動に切り替えずに二輪駆動で走ると、少し滑る感覚を味わえるので、おすすめです。

 

広大な敷地の「はらっぱエリア」

 

オフロードコースのほかに、2つのキャンプエリアがある。いずれも全面フリーサイトで、テントを張る場所は早い者勝ち!「はらっぱエリア」の川沿いでは、清流を眺めながら自然を満喫できる。一方、「ひだまりエリア」は「はらっぱエリア」より高台にあり、開放感抜群!

 

一度体験するとハマる「薪割り」

 

管理棟の横には、地元の林業業者から譲り受けた多くの間伐材が置かれ、好きな時に「薪割り体験」ができる。Mio会員の方は基本的に無料で薪が使い放題で、自分たちで使う分だけ割るルールとなっている。一般のお客様は一箱詰め放題で1,000円で購入できる。

 

織田さん:薪割りは、普段の生活ではなかなかできない貴重な体験です。美杉町の清らかな空気の中で、一つひとつの体験を楽しんでほしいです。

 

トイレを新設し、快適なキャンプをサポート

 

 

2024年には、クラウドファンディングを活用して、ウォシュレット付きの水洗トイレを新設。利用客がより快適に過ごせるよう、施設整備に力を入れている。

 

両施設ともペットとのキャンプを大歓迎!

 

織田さん:現在はキャンプスタイルや休日の過ごし方が多様化しています。「ウッズランドMio」の会員も「オフロードランドMio」の利用者も、一人ひとりが異なる価値観を持っています。そうした多様な価値観を尊重し、誰もが気持ちよくキャンプを楽しめる施設にすることも大切な目標の一つです。

 

自分たちで育てる「美杉町の新しいカタチ」

 

「ウッズランドMio」の現在の会員は約250名で、約9割が三重県・愛知県・大阪府に在住している。織田さんがイベントや施設整備の告知をすると、10人以上が集まることも珍しくない。

 

家族で楽しめる「もちつき大会」も大盛況!

 

織田さん:たった一人で始めたキャンプ場づくりも、今では250人の仲間が支えてくれているという感覚になっています。キャンプを通して美杉町の豊かな自然や地元民の人柄にふれ、この地域を好きになってもらえることが何よりの喜びです。多くの人が訪れるようになれば、地域との人的・経済的な交流が生まれます。これからも美杉町の発展のために頑張っていきます。

 

「ウッズランドMio」の会員になったことをきっかけに、美杉町に移住した方が数組いるという。この出来事は人口減少が進む地域にとって大きな希望となっている。仲間とともに楽しく地方創生に取り組む織田さんは、美杉町のことを話す時、いつも生き生きとしている。一度このキャンプ場を訪れると、その自然環境と人の温かさにきっと惹かれることだろう。

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取材協力

「ウッズランドMio」
〒515-3312 津市美杉町上多気1800
電話番号 090-8388-3164
HP https://mio-since2020.com/woodsland/
「オフロードランドMio」
〒515-3312 三重県津市美杉町上多気1916
電話番号 090-8388-3164
HP https://mio-since2020.com/offloadland/

取材:2026年1月27日
文 :新開康介
写真:亀田悟

※写真一部:「ウッズランドMio」「オフロードランドMio」提供

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